コンサル女子 Hiroko のシリコンバレー目うろこ記

生粋東京っ子が実体験から思考した、"シリコンバレーと東京の差/GAP"を紹介します

SV流「失敗」の定義

「失敗」が語られる頻度が違う!
ここシリコンバレー(SV)では「失敗」をテーマにした議論がとても多いです。
 
先日参加してきたトークイベントのタイトルもズバリ、

Fail2Succeed

スタンフォード大学の教授3名が、それぞれの経験に基づき「失敗」を議論するイベントでした。
 
SVでは、ほぼ毎日どこかでイベントが開催されていますが、逆に言えば、それだけイベント(供給)が多いということ。従い各イベントは聴衆(需要)に向け魅力/特徴を訴求するのですが、その有力テーマの1つが「失敗」なのです。
 
 
「失敗」の意味が違う!
先日のイベント紹介文はこんな感じ。
"Fail early, fail often." is the motto of many inventors, educators, and scholars. Studies show that setbacks and subsequent reflection are integral parts of success. Learning from setbacks we encounter, and seeing failure as opportunity, enables us to develop the ability to adapt and endure.
 
生粋東京っ子的には、「失敗」はネガティブ言語に分類されていました。曰く、受験に失敗、転職で失敗、家探しを失敗...etc. 「失敗」は「回避すべきもの」で、「XXで失敗しないために!」というタイトルに目が行きます。
 
ここSVでの「失敗」は、日本語の「失敗」とは別物です。基本的にポジティブ言語であり、歓迎するものであり、より重要なのは「成功」の一部を意味します。つまり、失敗と成功は、日本ではExclusive antonymですが、SVではInclusive Synonymで、失敗は成功の不可欠な一部なのです。
 
先のイベント主催者「The Stanford Resilience Project」のロゴ(写真)はこの点をうまく表しています。

   f:id:HirokoOtsu:20161206051518j:plain 

この黒い背景全体が「成功」で、その一部に「失敗」があるのです。
 
 
そもそもSVの誕生は「失敗」が端だった!
William Shockleyさん(ウィリアム・ショックレー - Wikipedia) をご存知ですか?

   f:id:HirokoOtsu:20161206051541j:plain

シリコンバレー中興の祖ですが、それも実は彼の「失敗」が始まりです。彼はSVで起業しましたが、彼のマネジメントが悪かったため優秀な社員が次々と皆辞めてしまいました。しかし、辞めた彼らがそれぞれ起業して優良企業が次々と周辺に誕生し、そこからシリコンバレーが誕生したのです。
 
 
成功者が失敗を真剣に語る!
先日、Tim ( Timothy C. Draper)さんを囲むランチ会に参加しました。
 
余談ですが、Timさんは、SVではとても有名な、お家柄も非常に由緒正しい投資家さんです(参: http://dfj.com/people/timothy-draper)。そんな方に、全く面識もコネもない私が、参加者約20名のクローズドなランチテーブルをご一緒し、直接お話し出来てしまうのはSVの素晴らしい所です。
 
写真はランチ会場(ドレイパー大学ヒーローシティ)の壁。色々なヒーローがいて楽しい。

f:id:HirokoOtsu:20161206052754j:plain

話を戻します。その時の彼のスピーチも「失敗
 
曰く、自分の人生は、失敗から失敗へジャンプする連続だったと。具体的には、グーグルへ投資しそこなったことが最大の失敗だ、最初のピッチは酷すぎて大失敗だったが21回目で成功した(資金投資を得られた)などなど。彼ほどの成功者が失敗を真剣に披露する姿を見て、SVの奥深さに衝撃を受けたのでした。
 
 
「失敗」が「成功」の一部であることに異論をもつ人は、ここSVにはいません。一方、どう失敗するのか、どう失敗から学ぶのか、そもそも成功の定義は?となると、まだ議論の余地がありそうです。

恐ろしく身近な自然(1)

自然の物理的近さが違う!
" I am a native Californian whose favorite thing in life is nature. If anyone is interested in going hiking, backpacking, or rock climbing, I'M IN!"
これは私のスタンフォード大学院同級生女子の自己紹介文です。

Nature...
生粋カリフォルニアっ子の言う「Nature/ 自然」の本当の意味は住まないと理解できません。とにかく、物理的に近い!

生粋東京っ子にとり、車の渋滞か新幹線・飛行機の人混みを1時間以上経て初めて辿り着ける本格的な山や海が、スタンフォード大学のあるパロアルトから車で20〜30分以内にあります。市営施設も多く、子供からお年寄りまで、週次・日次に楽しめます。

 

混み具合が違う!
代々木公園が大好きな私が「緑の綺麗な公園を散歩したい」と地元の友人に言ったところ連れて行ってくれたのがここ。パロアルトから車で20分の市営公園。

Wunderlich County Park
http://parks.smcgov.org/wunderlich-park

   f:id:HirokoOtsu:20161205050505j:plain

公園というより「山」です(笑)。

幅1mない道をひたすら歩きます。最短コースで2時間近く歩きました。途中すれ違ったのは、1人ランナー、老夫婦カップル、大学生数人グループ、小学生10数人を引率する先生など様々でしたが、10分に1度程度でとても静かです。


ワイルドさが違う!
何より驚いたのは、東京には絶対に存在しないワイルドさです。

まず、馬が普通に歩いてます。落し物も多いので、足元に注意しなければなりません。鹿にも出会えます。彼らは歩道を歩かず草陰を歩くので注意しないと気づきません。

そしてなんと「Mountain Lionに注意」の看板が!

   f:id:HirokoOtsu:20161205050634j:plain

ラ、ラ、ライオン?!

生粋東京っ子の私は、冗談だと思いました。が、冗談ではないのです。この公園では時々ライオンに遭遇し、過去には死亡事故もあったそうです。

代々木公園は、蚊の事故で数ヶ月閉鎖されていましたが、この違いは・・・

ここシリコンバレーには、先述の青い空に加え、生粋東京っ子には恐怖すら覚える真の自然が、日常生活にナチュラルに存在しています。それが人びとの思考・行動に大きな影響を及ぼしているのは確かで、それについては改めて紹介します。

SV的出会い方(1)

イベントの標準アジェンダが違う!!
シリコンバレー(SV)は「出会い」に事欠きません。ほぼ毎日、面白いイベントが近くで開催され、それを事前にリコメンド通知してくれ登録・支払いまでクリックで済ませられる便利なサイト・アプリ(注)があるため、行きたいイベントがバッティング、は日常茶飯です。

まず驚いたのは、その標準スケジュール。

以下は先日参加したイベントの実スケジュールですが、ほぼこんな感じ ↓

6:00 – 6:45 pm  Networking / Registration
6:45 – 8:00 pm  Presentation with Q&A
8:00 – 9:00 pm  Networking & Reception


プレゼン75分に対し、ネットワーキング105分!!


生粋東京っ子な私は「最初のネットワーキングは遅れてくる人のため、最後のネットワーキングは主催者関係の人のためだろう」と思いましたが、浅はかでした。最初も最後も椅子に座ってる人は少数で、立食パーティさながらネットワーキングな会話が繰り広げられます。

注) サイト例  https://www.meetup.com/


話しかける相手の見定め方が違う!!
ネットワーキング時間の過ごし方も違います。

生粋東京っ子(どちらかというと人見知り)な私は、知人の知人っぽい人や、隣に座った・立った人など、何らかの縁を元に思い切って話しかけるのが無意識の行動パターンでしたが、それは機会の無駄遣いだと学びました。

SVでは「あの人(完全に未知だけど知り合いたいと思う人)と話すぞ!」と狙いを定め、わざわざその人の元に近づき声をかけます。「あの人」は、事前に決めている場合もありますが(イベントサイトで参加者がある程度分かる)、大抵その場の観察(いい質問した、若手エンジニア風だ、など)で瞬間的に狙いを定めます。

この方が、自分の知り合いの幅を意識的に、確実に広めることができます。

当初、知人ゼロだった私は、ネットワーキング時間が手持ち無沙汰になるのを恐れましたが、とんでもない。自分から声をかけなくても、狙いを定められどんどん話しかけられてしまうのです。

例えば、先述のイベント。
プレゼンターは日本人でしたが、聴衆は8割くらい非日本人。

f:id:HirokoOtsu:20161204050528j:plain

 イベント後、私から話しかけたのは2名。逆に、5名(うち非日本人4名)から話しかけられ、時間いっぱい会話を楽しみました。

 
 
初対面同士の会話の質が違う!!
「こんにちは(笑顔と共に)、私はヒロコ、初めまして!」の後も違います。個人的観察ですが、初対面同士の会話には型があります。

1)自分はどういう人間なのかを簡潔に伝える
2)なぜ今ここにいて(目的)、何を知りたいのか(関心)を簡潔に伝える
3)自分と相手の共通項を見つけ、お互いの関係性が深まる可能性を探る

つまり「私はXXをしていて、XXに関心があるの!」を熱く、しかし簡潔に語れなければなりません。コンサル的に言うと、エレベータートークを毎回準備するイメージです。

これを1回のイベントで繰り返すのですが、お互いこの型を意識するため、ほんの数分で大きな成果(会いたかった大物や営業先を紹介してもらうなど)に繋がることがよくあります。そして、それこそがイベントに参加する最大の目的なのです。

そもそもプレゼン自体は資料や動画がwebでシェアされることが多く、内容を知るだけなら自宅で済みます。それでも会場へ出向くのは、プレゼンをネタに人と出会うためであり、そうすることが、毎日ご飯を食べるのと同じくらい自然なことなのです。
 
 
「SV的出会い方」でまず目うろこだった点を紹介しました。同テーマはまだまだ紹介したいことが山盛りですので、また改めて。

SVの空は青かった!

空の青さが違う!!!

初めてシリコンバレーを訪れたのは2015年夏。

仕事でほんの数日の滞在でしたが、とにかく東京では経験できない空の青さが衝撃でした。それも日陰は涼しく、日向は爽かに暖かい日差し。こんな気候の中で暮らせたら人生の質が変わるだろうなぁと、その時は完全に他人事で感動しました。

   f:id:HirokoOtsu:20161203030951j:plain

しかし物事には裏もあります。住んでみて分かるのは、この美しい空を楽しめる分、水不足はとても深刻ですし、女子的には紫外線によるお肌のダメージが半端ありません。

「違い」は、一方があまりに身近だったり、他方を未経験だと、その差の存在すら気づかないものです。気付かなければ、その良さ・悪さを自覚し、更にそれがもたらす影響を理解するのは難しい。単純なことですが、改めて「未知を知る」大切さを再確認しました。

このブログでは、40年以上ずっと東京で暮らしてきた私が、シリコンバレーと東京の「違い/ GAP」という視点で思ったことを紹介していきたいと思います。