コンサル女子 Hiroko のシリコンバレー目うろこ記

生粋東京っ子が実体験から思考した、"シリコンバレーと東京の差/GAP"を紹介します

Google

Google Cloud Next '17 (Google Cloud Next ’17 | March 8-10 San Francisco)という 一大イベントが開催された先週は、皆さんもGoogle関連のニュースを毎日たくさん目にしたことと思います

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※Mountain ViewのGoogle本社
 
Google親のAlphabetが主催した同3日間のイベントは、参加費10万円超、宿泊費も高騰中のサンフランシスコ市内で開催されたにも関わらず、エリック・シュミット会長を筆頭とするトップマネジメントが参加し、新しい発表が100件もリリースされるなどで(100 announcements (!) from Google Cloud Next '17)、チケットは売切れ、当日も大変盛り上がりました!
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※会場前の人混み
 
同イベントの内容は全セッション、You Tubeで観ることができます
従って、コンテンツ目的なら参加する必要はありません。それでも東京からわざわざ参加する人もいるのは、その熱気に触れるのはもちろん、そこに集まるエンジニア同士のネットワーキングがとても重要だからです。その辺は SV的出会い方(1) - コンサル女子 Hiroko のシリコンバレー目うろこ記 で紹介しました。
 
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※数ヶ月前にGoogleへ参画したばかりのAI 大家 Fei fei 教授のプレゼン
 
 
Googleのお膝元、ここシリコンバレー(SV)では、Google 現役社員の方に会ったり、会社にお邪魔する機会がとても多いです。なお、私の参加しているスタンフォード Ignite プログラムスタンフォードの起業家養成コース "Ignite" (1) でも、有職の同期36人中、5名が現役Googler(Google X含む)です。5名は全員男子ですが、出身国はトルコ、インド、コロンビア、メキシコ、中国と、とてもインターナショナルです!  ということで、今回は個人的なGoogle経験@SVを紹介します。
 
 
EXPECTANT MOTHER PARKING
とにかく日本の皆さんにお伝えしたかった、Google本社で何より超目うろこだった点は、プレママ (妊娠中の女性) 用の駐車場が本社ビル入口の最も近くに数台分確保されていること! これはもう、本当に説明不要ですね! 東京でこんな標識見たことありません! 米国で良く見かける障害者用駐車場より近いのです!

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Eco Friendly

プレママ用の駐車場よりも少し離れた場所にある役員駐車場 (←これ超重要。日本では絶対にありえない!) は、基本的に電気チャージャー付き。つまり、エコ(テスラ含め、電気自動車)が基本です。

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Casual
ご存知の通り、日本のgoogleは@六本木ヒルズなので、時々お邪魔する際は相当気分upです。でも、Mountain Viewの本社を始め、ここSVのキャンパス(彼らはオフィスをそう呼びます)は、どこも割と質素(?)です。加えて、たとえ Director等の偉いポジションであろうと、服装は基本、 Tシャツ・デニム・スニーカー。女性も同じです。パッと見、本当にスタンフォードの大学生と同じです。「今日はGoogleでミーティングだ!」なんて気負ってスーツを着てしまったら超目立ってしまう(良い意味ではなくw)ので気を付けましょう!
 
 
プレママ最優遇・エコ・カジュアル .... 一見、共通項がないように見えますが、強引に言うと「実質重視」。要は、優秀な人材が気持ち良く働ける場所を追求した結果こうなった、ということだと思います。これこそ、真の "多様性/ ダイバーシティ" 実践の前提条件だと思いますが、いかがでしょうか。
 
"多様性/ ダイバーシティ"は、総論OKだけど、各論・実践論では様々な問題を抱える深いテーマです。ここSVでも、ご承知の通りUberが同トピックで死活問題を抱えるなど、各社それぞれ試行錯誤しています。これほど、"多様性/ ダイバーシティ"は 企業、それも特に先端を行く企業にとり最重要課題になっています。その点、Googleのダイバーシティに対する取り組みは非常に厚みがあり (Diversity - Google) 、世界中で女子高生の教育に投資する (http://www.google.co.jp/events/mindthegap/) など、本当に本質を突いていて安定しているなぁ、と思わざるをえません。

スタンフォードの起業家養成コース Ignite (1):参加者の横顔

私は今スタンフォード経営大学院が運営する起業家養成プログラム "Ignite (https://www.gsb.stanford.edu/programs/stanford-ignite)"に通っています
 
米国では今、大学が起業家育成にもの凄く力を入れており、類似プログラムが沢山あります(http://forbesjapan.com/articles/detail/14800)。
 
日本でも、産学連携に力を入れている東京大学が2005年に「アントレプレナー道場」を開設していますが、在学生限定、数回の講義方式、基本無料、途中リタイア可能などで、卒業生は過去10年累計で約2000名。 
 
一方、スタンフォードのIgniteは、2006年に生徒35名で始まったものの、今ではシリコンバレー(SV)キャンパス以外にも、バンガロール(インド)、北京(中国)、サンティアゴ(チリ)、サンパウロ(ブラジル)、ロンドン(UK)など、複数キャンパスで同プログラムを展開、年間で約2000人の卒業生を排出、卒業生が起業しGoogleらに売却した事業も既に二桁件数ある規模に成長しています。
 
とはいえ、未だ設立後10年のプログラム。MBAなどに比べ認知は圧倒的に低く、ここSVでも「それは何?」とよく聞かれます。そこで経験ベースで特徴を紹介していきたいと思います
 
初回の今回は、同期の横顔、要は「どんな人が参加してるの?」です!
 
 
国際色豊かで黒髪率が高い!
特徴を1つに絞るなら、とにかくこれ。想像以上です。
 
・同期 71名
同期が数百人いるMBAコースに比べ、顔が見える大きさです
 
・出身国 18カ国
個人的に初めて親しく話すのは、サウジアラビア、イスラエル、ポーランド、ジンバブエ、ネパール、トルコなど
 
・インド人と中国人で約半分の34人;比率は約半々 ※見た目ベース
上記に他アジア(日本、台湾、タイ)とラテン(メキシコ、コロンビア)合わせ40名(56%)
 
 
とにかく、黒髪率(ブルネットでもなくて真っ黒!)がとっーても高いです(笑)。
 
それに気づいたのは、先日スタンフォードのロースクール(法律大学院)の講演に参加し、会場がとても明るくて(金髪〜金白髪が半数)多いに場違い感を覚えた時でした。改めて Igniteの教室で金髪を数えたら5人、なんと1割未満!
 
それでも同僚は「(国際色は)足りないよ!」と首を横に振ります。チリチリボリューミー系黒髪のブラックが居ないし、ラテンも少ないと。
その意味を私が理解できたのは、先日参加したスタートアップのイベント(https://www.startupgrind.com)会場で物凄い数(1割以上?目立ちますw)のブラックな方々が熱心に参加しているのを見た時でした。
 
生粋東京っ子的には、これほど多国籍な非日本人に囲まれ深く議論できる経験は日本国内ではほとんどないので、それだけでギャップ感・興奮度満載なのですが、改めて、起業の夢を抱きSVに集まる人々が "多様性" をどう意識しているかを思い知りました。
 
 
高学歴率と科学度が高い!
私のクラスはパートタイム(平日夜と土曜終日)で、参加者はスタンフォードの大学院生とフルタイムワーカーが半々です。
 
・スタンフォード大学院生 35名
うち30名が、エンジニアリング大学院とメディスン(医療)大学院です
 
他の主要スタンフォード大学院の1つ、ロースクールの学生が1人もいないのは興味深いです。なおビジネススクール(MBAコース)受講者はIgnite受講資格がありません。
 
・修士・PhD・MD学位保有者 53名(75%)
同学位"取得中"を除いてこの数字、加えて、うち31人はスタンフォードでの学位という事実を踏まえると、SVでも屈指の高学歴者集団なのが分かります
 
・フルタイムワーカー 36名
さすがSV、Googleの社員が5名。その他 Apple、Facebook、Linkedin、Paypale、Intel、Salesforce 合わせ、計11名。
 
残り25名のうち、既に起業ずみのファウンダーも数人。彼らは自分の事業を大きくするため参加しているので、真剣度合いがもの凄く、質問のリアリティが桁違いです。
 
生粋東京っ子的には、やはり、これだけ高学歴・科学度の高い人々が「起業」を真剣に考えていて、学業や仕事が忙しい中、それらに「加えて」、時間的金銭的コストをかけても同プログラムに参加する姿勢に、SVらしさというか、もう単純に恐れと尊敬の念を抱いています。
 
 
愛するチームメンバー
Igniteプログラムの半分(実質メイン)は、ベンチャー起業案を軸としたチームワークです。1チーム6人・全12チームが、各々1つの事業案を軸に擬似起業プロセスをプロジェクトX的に推進します。なお12の起業案は、生徒による発案応募・投票で決まります。
 
私は、Amazonのレンタル版Appサービスを展開する事業案を検討する「Zent.com (https://www.zent.com/)」チームに参加しています。私以外のメンバー5名は皆若い男子、それも高学歴・科学系のナイスガイで(喜)、かなり楽しくチームワークしています。同期の具体例として、彼らの横顔を紹介します!
 
ニック
・現:スタンフォード大学のPost Doctorバイオベンチャー企業のファウンダー
・Doctor of Philosophy (PhD) 保有
・サンクトベテルブルク大学(ロシア)卒業
・英語、ロシア語、ドイツ語(&片言の日本語!)
 
ノア
・現:スタンフォード・エンジニアリング大学院(MSc)の学生
・サウジアラビア人
・ペンシルベニア州立大学(米国)卒業
 
本国服(日本の着物?)のノア ※写真掲載の許諾を頂いてます!

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タイソン
・現:バイオ系テクノロジー企業のマニュファクチュアラー
・台湾人
・バンコクのインターナショナルスクール/高校、ケンブリッジ大学(英国)卒業
・英語、タイ語、中国語
 
ジョン
・現:Googleのソフトウェア・エンジニア
・中国人
・コンピューターサイエンス(MS)保有
・北京林業大学(中国)、コロンビア大学院(米国)卒業

アリ
・現:Zent.com社ほか複数社のファウンダー
・イスラエル人
・2009年以降 米国CAベース、複数スタートアップを創業
・IDCヘルズリヤ大学(イスラエル)卒業
 
 
濃淡あれ、全員テクノロジー系。結果、会話・連絡手段はメールでなくSlack、ミーティングもF2Fに加え週1度はSkype、ミーティング中の作業はホワイトボードよりGoogle doc(リアルタイムで複数人が同時にonlineドキュメント編集できる)です。
 
コンサル業長い私は、効率系ツールは使い慣れてたつもりですが、チームの中では最も弱く(汗)、最近はそれがバレて「ヒロコ、(作業中の)ピッチドック見れてる?」とか確認され、もとい、してもらってます(苦笑)。
 
彼らはまた、ユーザーやベンダーへのインタビュー、競合分析、市場規模の推計、事業案のファイナンス(コスト、フリーキャッシュフロー、ユニット・エコノミクス)推計など、経営コンサルタントでも新人なら苦戦するレベルを指導不要でスラスラこなし、結果、週1で出るチームアサインメント(チームで成果物提出が義務な課題)を短時間でサクサクこなしていきます。
 
 
生粋東京っ子としては、SVの起業家全員が彼らのようではないと思う一方、逆に、彼らのように非常に優秀な若者が真剣に起業を目指して向かう地がSVなんだなー、と感嘆するばかりです。

SVの超ヤバイ肯定文化(2):自己肯定感

ハワイのビーチで、20代ブロンド綺麗系、だけど凄〜くふくよかな女性、がビキニ姿で超楽しそうにしている姿を見たことある人、いらっしゃいますよね? 私、初めて目撃して以来、あまりに堂々と幸せそうな彼女達の姿に圧倒され、足が太いとか気にしている自分が超〜〜〜バカらしくなりました(苦笑)。
 
もう一つ。
 
スタンフォード大学院への応募に必要なエッセイや面接を助けてくれた先生に私、思い切り叱られました。
 
Hiroko! If you live in the States, you have to shift your attitude!!!
 
要は「私なんて...」とへりくだり過ぎ(そんな気はないのですが・・むしろそれが問題?!)、それは米国では全く理解されない。もっと「私は自分の人生が大好き、私はこんなことができる無二の人よ!こんなことをしたくてワクワクしてるわ!!」というのを全身で表現せよ、と言うのです。
 
ということで今回のテーマは「自己肯定感」です。
 
 
衝撃な女子的服装
ハワイはリゾートだし... と思いきや!シリコンバレー(SV)も同じでしたー。
 
先日、劇場パフォーマンス "キャバレー"の客席で目にした女子に衝撃を受けました!!  なんとマツコ・デラクックス級の20代女子が、バックオープンの超セクシー系ドレスで現れ... それも、モジモジする様子は1ミリもなく、むしろドヤ的に!!  

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席的に、その素敵にふくよかなヌードの背中を思い切り目にする私の方が、目クラクラ(0.0)・・・!!
 
彼女に限らず、SVでは、東京では絶対に目にしないふくよか体型女子が、ピッチリ系スパッツを普通に着て歩いているのです。恥じらい感、全くなく!!  <---ここ大切w
 
衝撃な告別式
先日、ある方の告別式に参列しました。超大手企業の偉い方で、通夜は数え切れない人でしたが、告別式はごく親い方限定でした。が、その場所はなんと、高級車のレンタルガラージュ(故人が高級クラッシックカーのファンだったため)。涙が苦手な故人を敬し、女性は正装ドレス、男性は上着正装・ボトムカジュアルという(やや難しい)ドレスコードのパーティで、なんと奥様は真っ赤なドレス、大学生のお嬢様方もオレンジ・ピンクのドレス、実のお母様まで白いドレスをまとい、参列者と笑顔でお話しされていました!

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SV的自己肯定感
「私はこうしたいので、こうします(それが、何か?)」、「私は私の存在・生き方に満足しています」、「私は生きる価値があり、誰かに必要とされています」と、心から思う感覚、自分の良いところ・悪いところすべてを肯定する前向きな感情を「自己肯定感」と言うなら、SVっ子のそれは明らかに東京っ子のそれよりも平均大きく上回っていると思うのです。
 
なぜだろう?
 
真の自己肯定感は究極、「他人が定義した正解・理想像との比較に基づく否定感・不足感が無い」ことから生まれる、と思います。つまり、正解や理想像と比較して自分はOK、なのではなく、そもそも比較なんか全くしなくて、自分で勝手に「私っていけてる!」と言い切る感覚です。
 
なぜだろう?
 
1つは、SVの地の利、即ち、米国の中でも特に移民にオープンな地であること、が大きいと思います。
天気の良い週末にスタンフォード・デッシュを散歩すると、それはもう本当に、聞いたことも無い言語含め10数種類のいろいろな言葉を話す人たちとすれ違います。彼らは皆、母国の文化を尊重・維持して生活しています。つまりSVでは「違う」ことが普通で、唯一の「標準 / 正解・理想」がないのです。
 
もう1つは、SVの人々が努力して維持している価値観が大きいと思います。
私の尊敬する3児のワーキングママNは、長男(3歳)を長女(5歳)と敢えて違う学校に通わせています。SVでは子供の送り迎えを親が車でするわけで、働きながら子供を違う学校に通わせるのは、相当の労力を伴うのですが、その理由が「同じ学校に通わせると、長女が長男をコントロールしようとする(長女から「こうしなきゃだめよ!」と否定される経験を長男にもたせたくない)から」。
 
共通するのは「多様性」、つまり「皆一人ひとり違う、多様な事は良いことだ」という価値観なのでは、と思います。
 
 
翻って日本
多様性より均質性を重視してきた日本。自戒を込めて書くと、無意識に正解や理想像と比較することが身に染み付いています。そして、それが「自己肯定感」を持ちにくくしている最たる理由だと思っています。
 
かく言う私は、10数年前からTVや日系女性誌は一切目にせず、リア充自慢系のfacebook投稿は非表示にするので、芸能系はおろか、「カリスマXX」とか「読者モデルXXさん」らの華麗な日々を全く知らないのですが(笑)、それでも幼少から刷り込まれた「あらねば」には無意識に囚われていて、「私って全然ダメ」感満載な毎日を送っています。
 
先日SVの友人に、「日本人ってさ、自信を持つには他人の認証が必要だと考えてるよね。けど自信を持つのにそんなもの全く要らないのさ、自分は凄い!って自分で信じればいいんだよ」 と言われ、目うろこでした。
 
 
多様性 vs 均質性
SVの多様性カルチャーを実経験して発見したのは、"多様"が前提の場合、相手との「共通項」に対し敏感になり、共通項を見つけて一体感を得るか、あるいは相手の絶対的ユニークさを称賛して学びを得るか、そのどちらも嬉しい気分になりがちなことです。一方、"均質"が前提の場合、相手と自分または標準/理想との「違い」に対して敏感になり、超ささいな差含め、劣等感・優越感に一喜一憂し、時に不快感を覚えたり、上から目線の批判をしたり・されたりしてしまう、結果、不要なストレスを抱えがちでは?と思います。
 
 
多様性、均質性、それぞれ良い面・悪い面あり、どちらが正解・不正解とジャッジする意図は全くないのですが、少なくともSVは多様性カルチャーがより強く、結果として自己肯定感を人々が持ちやすい場が育まれているよなぁ、と思います。
 
人生後半戦の私は、「他人が定義した正解・理想像との比較に基づく否定感・不足感」って、貴重な残り人生の無駄遣いだよーって思いますし、母・娘・妻・上司など数役を超人的にこなすワーキングママな愛する日本の友人たちには、不必要な不足感・劣等感に心病まれないでほしいなぁ、と思うのでした。

SVのオープンな文化が生んだ弓道場

今回は、シリコンバレー(SV)に10年超住む人の中で初めて私の友人と呼べる仲になってれた、弓道師範のマリアさんを紹介します。

 
彼女に初めて会ったのは2015年の夏。仕事で訪れたSVでの夕食会で、偶然隣に座りました。話し始め直ぐ、頭脳明晰で話題豊富な女性だと感嘆したのですが(スタンフォードで博士を取られた化学者と後に判明)、なんと弓道を20年以上続け師範の腕前だとの事。これは盛り上がらないわけありません!
 
「近々、明治神宮弓道場のプログラムに参加するわ」と聞き、近くに住む私は「ぜひウチに泊まって!」と申しで、その数ヶ月後、彼女は私の家に一週間滞在した初ゲストになってくれたのでした(笑)。
 
その後、彼女とはFBを通じ近況知り合う仲となり、今年11月に一年ぶりの再会を果たしました。実はその間、彼女は凄く大きなことを成し遂げたのです!
 
 
レッドウッド弓道場
彼女、SVに素晴らしい弓道場を作ったのです!それも自宅の1階に!

竣工までの進捗をFBで見守れたその弓道場に、いよいよ訪問できる機会を得、本当にドキドキする気持ちで再会しました。

彼女の弓道場で稽古中のマリアさんとティムさん ※写真掲載の許諾を頂きました!

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レッドウッドに佇む美しくて厳かな弓道場

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実は私、中学時代に剣道を少々学んだことがあり、道場の厳かな空気が大好きです。そんな私でもビリビリくるほど本物の「道」の空気が溢れるこのレッドウッド弓道場は、とても素晴らしい場所でした!
 
弓道は全く初心者な私。弓や矢などの基本から、”道/精神”の深いところまで、マリアさん(米国人)が丁寧に話してくれましたが、ここまで弓道に精通される米国人がいらっしゃることに、正直凄く感動しました!
 
彼女の弓道パートナー、ティムさんは、小笠原流流鏑馬を日光東照宮で披露するほどの腕前です。
※赤帽で馬に跨る中央の男性がティムさん。写真掲載の許諾を頂きました!

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 ※下記は小笠原流流鏑馬(イメージ)

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SV的弓道場
彼女の弓道場を訪問し、直感的に”SV的だなぁ”と思ったので、その要因を私なりに因数分解してみました。
 
La Hondaという神聖な山丘地域/ 自宅が職場から車1時間以内にある地理的要因
2)柔軟な労働環境 / 出社が必須でなく必要なら家から会議参加等が可能(職場要因)
3)人生の優先順位を、個人の価値軸 / 弓道を中心に設定できる(文化/価値感要因)
 
そんな仮説を彼女にぶつけた所、全く想定外の、より深い回答を頂きました(苦笑)!

一言で言うと、
 
Openness
 
前例がないことに対するオープンな姿勢だというのです。曰く、
 
"An advantage of Silicon Valley, perhaps, is its openness to innovation and new ways of thinking. The Redwood Kyudojo came to be by never letting the vision die, by keeping a strong spirit, and by being resilient enough to bounce back after setbacks."
 
弓道といえば、歴史の重さと共に、利害関係が複雑なことは日本人なら容易に想像できます。日本でも大変なのに、米国に新たな道場を開設するとなれば、相当面倒だっただろうと、マリアさんの文章から想起されます。実際、開設までに実に五年を要したそうです。
 
それでも、SVのオープンな姿勢があったことで、マリアさんの想いに対する周囲の多くの賛同・協力が集まり、5年をかけて"never letting the vision die" の結果、素晴らしい道場の開場に繋がったというのです。
 
ここに、シリコンバレーと東京の差が詰まっているなぁ!思いました。要は、伝統を優先し新しいことに保守的な人々の抵抗力の結集と、前例ないことが何か?と抵抗に屈しない人々の逆境力・回復力の結集。

SVのオープンさを重視する文化のお陰で、日本が誇る弓道文化の「場」がSVに生まれ、本当によかった!!と思うのでした。

 

SVの超ヤバイ肯定文化(1)

「肯定文化」。
 
米国文化の1つだと思いますが、自分事になったのは、管理職研修@米国で、部下へのフィードバックコミュニケーション研修を受けた時です。
 
曰く「サンドイッチ」手法。
 
・まず、褒めて(例: 最近、会議で発言する機会が増えましたね)
・次に課題を指摘し(例: 時々その場の思い付きと取られかねない発言をする傾向があります)
・最後に提案をする(例: 数字や根拠データを一緒に示すと納得感が高まりますよ)
 
これを、米国人同僚とペアになってロールプレイを繰り返し、スキルとして身に着ける訓練を受けました。日本人相手でも効果大なので、その後も実践し続けています。
 
しかし、ここシリコンバレー(SV)で、
 
「SVの肯定文化、マジ、超ヤバくないか?!」
 
という、興奮と恐怖が入り混じる衝撃を何度か経験しました。それは、私の馴染んでいた肯定文化とは完全に別モノだったのです。
 
 
フィードバック第一声は超賞賛がディフォルト
まずは静かに嬉しかった衝撃から。
 
私の通うスタンフォード大学のプログラム "Ignite (Stanford Ignite | Stanford Graduate School of Business)"では、授業開始2ヵ月前から、同期のみ参加できるサイトがオープンし、プロフィール情報の登録、グリーティング投稿、及びサイト経由の事前課題の提出が義務づけられています
 
課題の1つに、「起業案の提出&投票」があります。
 
授業の開始後、全員が12チームに分かれ、1チーム1事業案を題材に疑似起業プロセスに取り組むため、皆本気です。そして、提出期限の翌日には、同期発の64案がサイト上でオープンになり、そこから第1次選考(全員で投票)に向け、質問等のやりとりが日々熱く交わされました。
 
私も温めていた渾身の事業案を提出しました(笑)。すると、まだ会ってもいない同期から次々とコメントが届きました。
 
Hi, Hiroko」に続く彼らの1文目↓

 - This concept sounds excellent and agree is still sorely underserved, but...
 - Great idea, and based on my experience with large corporations it is much needed...
 - I like your idea and particularly like the ideas target market, i.e...

生粋東京っ子な私は、まだ会ってもいない米国人若者から(割と地味な)私の事業案に対し「Excellent」、「Great」、「Like」付きのコメントを貰い、素直に嬉しかったです。もちろん全員でなく、ほんの数人(人数比で全体の1割)からですが、逆にそれが本音に想え、とても嬉しかったです。
 
重要なポイントは、フィードバックは全て、このような超賞賛から入る点です。逆に言えば、ピンと来ない人はコメントしないだけ。批判・否定から始まるフィードバックはゼロなのです。
 
 
ブッ飛びこそ超賞賛
一瞬眉が寄った、けどこれヤバイかも的な衝撃。
 
皆さん、Moonshot Thinking(注)という言葉をご存じですか? 

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私は馴染みがなかったので慌てて調べました(笑)。この言葉は、SVでは説明不要で使われ、そして何より、Moonshotな案が最も賞賛を集めます。
 
先に紹介したTim Draperさんとのランチ会 (SV流「失敗」の定義 - コンサル女子 Hiroko のシリコンバレー目うろこ記)で彼が強調したのも、このMoonshot発想。
 
曰く、「イーロン・マスクが "火星だ!”と初めて叫んだ時、大多数は静かに冷笑した。しばらくして、科学者が1人、また1人、彼に賛同した。今や冷笑する者は1人もいない。最初に冷笑した人は肩身の狭い思いをしている」。
 
そして「(見える)5年先ではなく、(見えない)15年先を想い描け!」と力説されました。
 
これ、生粋東京っ子には相当な衝撃でした。
 
私、実は10年先を夢見るの大好きです。でも、東京では(中期計画の期間である)3年以上先の議論をすると、大抵は理解されず、結果として賛同してくださる方は殆どいません。むしろ、明日の課題に取り組むべし、と助言くださる方が多いのです。そんな生粋東京っ子的に、5年先でも充分嬉しいのに、15年先と聞いた時は、少しおののきました(笑)。
 
 
もう一つ。これはスタンフォード同期の事業案にまつわる衝撃。
 
簡単に言うと、こんな案↓

 - What? -- MRI brain scans.
 - Who? -- Nerds.
 - Benefit? -- None. It's just for fun.
 
初めて読んだ時の、正直な感想。
「オタクの脳ミソをMRIスキャンする...?? 価値無し!って...それ、言い切る?!  けど楽しいじゃん!って...ええー、それアリ?? だって事業案でしょ?誰が何の価値に対して金払うとか、考えなくていいの?!」
 
続いた衝撃は、なんとこの案、提案直後から思い切りバズり、一気にトレンドランキングトップに踊りでるのです。 投稿されたコメントの第一声は皆同じ。
 
This is very interesting!!!
 
私はまたも「えっえー・・・マジ、これアリなの?!」
 
この案は無事(?)、第一次選考を通過しました。生粋東京っ子的には「はー、私が間違っておりました」という心境です。(ちなみに、私の案もお陰様で第一次選考を通過しました)
 
注)  Moonshot Thinking lives in the gray area between audacious projects, and pure science fiction. Moonshot Thinking at Google X means taking on global-scale problems (Huge Problem), defineing radical solutions to those problems, and involveing some form of breakthrough technology that could actually make them happen. They look for 10X improvements and solutions that will help one billion people.
 
 
質問文で議論 > 否定文でジャッジ
これは逆に東京で感じた衝撃。
 
私の事業案を、その領域で経験豊富な某日系大手企業の役員さん(日本人)に聞いてもらう機会がありました。その時の第一声がこれ↓
 
「(そのサービス)あまり効果がない気がします。」
 
SVの超肯定文化にドップリ漬かった後に日本へ一時帰国した翌朝のことでした。その言葉を聞いた私の第一印象は、
 
「おぉぉ、久しぶりの断言系否定文だぁ!!」
 
そう、ダメ出しが第一声で返ってきたこと自体が大変な衝撃でした。
 
同時に、これは凄く東京的かも、と思いました。生粋東京っ子の完全な私見ですが、東京では(特に割と偉い人ほど)人の意見に対しジャッジすることが無意識に目的化しているように思います。
 
一方、SVの場合、もろ手で賛同し兼ねる案に対しては、自分は可能性を充分理解できてないかもしれないという前提で、理解しようとまず質問します。更に、気の利いた提案をすることで相手に貢献しようとしたり、議論を楽しもうとするのです。
 
なので、SVでは批判・批評は多くの場合、疑問文か代替提案とセットです。

私の事業案に寄せられた質問分はこんな感じ↓

 - I'm trying to understand what will the XX look like. Can you give an example of actions, goals and skills(XXってよく分かんないんだけど、具体例くれる)?
 - Do you think it would be challenging to XX XXするのって超難しくない?
 - Another question is, why limit this to XX なんでXXに絞るの?

質問文が届くと結構嬉しいです。スタンフォード同期の質問はかなり鋭いので、挑戦意欲が湧くというか、1つ1つ真剣に考え、「そこは実は仮説が緩いの。XXもアリかと思うけど、どうだろう?」みたく質問で返したりもします。すると、更にそこから建設的な提案や議論が、時に他人も参戦して活性化していくのです。
 
一方、否定文を断言系(ピリオド)で言われると、基本的に議論はそこでとまります。私はプロのコンサルなので否定にメゲず(笑)、否定する理由等を質問するなど、相手の思考・ロジックを深く聞き出すのですが、先方が否定モードでいる場合、それは割と労力・時間がかかるのです。
 
 
実は相当大きな言霊効果?!
私は言霊(ことだま)効果を普段から信じ、実践しています。
 
人間不思議なもので、言葉で「楽しいね!」「それ最高!」と断言されると、そういう気がするものです。特に、コンサルティングのハードな仕事をしていると、難しく・大変で・辛い時こそ、リーダーが "上げる" 系の言葉を口にすることの「場」の効果は大きいと思うのです。
 
なので私は、超難題に直面した時こそ「うわ、これメッチャ楽しくない!?」と興奮気味に目を輝かせてメンバーに言いまくるのが自然な癖になっています(初めて聞く若者は驚き困惑します・笑)。
 
そんな私が、このSVの超肯定文化を体験し、真に衝撃を覚えるのは「その言霊効果、凄くないですか?!」ということです。
 
「それってどうよ...??」と半信半疑・眉寄せたくなる話こそ、「それ、めちゃくちゃ面白い!」とまず言ってみる。そして強引に面白いと思う所を見つけて褒める。すると、自分も他人もそんな気になり、建設的に議論(妄想)が膨らんでいくのです。
 
そもそも、Disruptiveな製品・サービスは、定義的に常識から逸脱するもの。最初に否定で入るのは簡単・楽だけど、それではイノベーションは生まれません。逆に、否定したくなる案(火星だ! とか)こそ「超面白い!」と断言してみる、がディフォルトな文化って、その効果は凄いよなぁ、と思うのです。
 
 
今回は事業案が題材でしたが、SVの超肯定文化の真髄はそれに留まりません。自己肯定、多様性肯定など、思うところ山盛りで、それらは改めて紹介したいと思います。